Shutter Monochrom

写真で綴る、日々の小さなこと。

ライカレンズの選び方(モノクロ用)

昨日、ぼーっとレンズのことを考えてました。

ちょっと、気になったので書いて見ようと思います。

 

ライカレンズの特徴なのですが、

①渋い色

②最高レベルの豊富な階調(ツァイス以上)

③高コントラスト

が上げられると思います。

ライカレンズを使う理由は、②の階調が豊富な点にあります。

世の中に、ライカレンズより階調が豊富なレンズは世の中にありません。

断言します。

カラーだとわかりずらいかもしれませんが、

モノクロプリントをすると歴然なのです。

豊富な階調が、モノクロの豊かなグレーを作り出すのです。

モノクロ写真家にライカ使いが多いのはこういう理由があります。

じゃぁどのレンズがいいのかというと、

性能は時代を通して同じではありません。

概ね下記の様になっています。

 

古いレンズ

①古いほど階調が豊富

②古いほど開放時の性能低下(絞れば解像度UP)

③古いほど開放でフレアーの出るレンズがある

④古いとコーティングの性能低下、あるいはノンコートも

⑤描写は濡れたようないい感じ

 

新しいレンズ

①新しいほど階調再現性が低下

②新しいほど開放時の性能が向上

③新しいほど開放付近でフレアーは出ない

④新しいほどコーティング性能は上がるが、

 中古で買うのは少し古いレンズなので思ったより高性能ではない

 (結構ゴーストがでます)

⑤乾いたような、国産レンズに似た描写

 

非球面レンズ

①開放から解像度はバキバキ、

②目が痛いくらいの高コントラスト

③デジカメと親和性が高く、豊富な階調

フレアーなぞ全くなし

④球面レンズとは全く違う写り、

 解像度がデジカメのセンサー解像度に勝っている感じで

 ざらざらした写りになり情緒はあまりない。

 正直、面白くない。

 

時代で写りが違うので、好みのレンズを探り当てる必要があると思います。

オススメは、古いレンズから徐々に新しくしていく方が良いです。

 

古いライカレンズが人気があるのは順光で、絞って撮影すると

現代レンズでは得られない描写を手にする事が出来るからです。

中途半端に新しいレンズは現代レンズに近づくので

ちょっと人気が下がります。

 

僕の標準レンズは、

ジュピター3→ズマー→ズミクロン沈胴→ズミルックス1st→ズミルックス2st

と変化しています。

ジュピターとズマーは置いておいて、

沈胴ズミクロンはコントラストが高すぎ&絞り開放時の性能に不満で手放し。

ズミルックス1stはコントラストは弱めでいい感じ、でもフレアー出過ぎ

で現在に至るわけです。

 

ズミクロンはF2、ズミルックスはF1.4です。

実はF値で写りも変わってきます。

コントラストが違います。

 

レンズはF値が大きい(値が大きい)ほど暗くなりますが、

レンズの設計は無理が無くなります。

よって「高性能」になります。

「高性能」というのは、「高コントラスト」「高解像度」の2項目です。

ズミルックスを選ぶのか、ズミクロンを選ぶのかはF値で選んでもいいのですが、

コントラストを選ぶ事でもあります。

僕はズミクロンのコントラストは駄目で、もう少し優しいコントラストの

ズミルックスを選んだ訳です。

しかし、35ミリのズミルックスは高いのでズミクロンで我慢ですね。

 

ライカの場合、初代モデルは「癖のある」モデルが多いです。

「癖」というのは絞り開放の描写がおかしいということです。

フレアーが出たり、渦巻きのぼけになったり。

初代ズミルックス35ミリは雑誌で見る限り特殊な写りですね。

初代ズミクロン35ミリ8枚玉は結構フレアーが出ました。

初代ズミルックス50ミリもフレアー玉でした。

安定した性能は2代目からが良いです。

 

超広角レンズを見てみると、

ライカは広角レンズの設計を苦手にしていました。

21ミリはシュナイダーからスーパーアンギュロンというレンズ供給を

受けていました。

このレンズはライカレンズとは全く違う写りです。

線が太く(粒が大きい感じで写る)、コントラストは高め、

階調はあるのだろうが線が太いので何ともいえないという、男性的な

写りがします。

しかし、このレンズは後玉の出っ張りが大きく、

デジタルライカではオッドシアンドリフトという周辺が紫になる減少が発生します。

 

ノンライツの勇、コシナフォクトレンダー

このレンズ群は基本的にコントラストは高め、階調はほとんどありません。

初期のカラースコパーシリーズなどモノクロはかなり難しいです。

しかし、28mmウルトラF2はかなり改善されていました。

でも1週間で売りました。

売って、経験を得て、廃盤にして、また新しいレンズを・・・

というサイクルをしており、明らかに良くなってます。

経験不足は否めず、買うとしたら極力新しいレンズがいいと思います。

基本的にカラーレンズであり、モノクロは満足できる物ではありません。

 

現代ツァイスZMレンズ

ライカがどんどん非球面化し、ざらざらした描写に写る中、

かたくなに球面レンズを守っています。

ゾナー、ビオゴン、プラナーはライカとは違いレンズ形式を表しており、

非球面レンズが入るとプラナーはプラナーとは呼べないのかもしれません。

球面レンズのメリットはなんと言っても写真らしい事です。

安心するんです。球面レンズって。濡れたような描写で落ち着きます。

非球面は良く写るのですが、見ていて少し落ち着かないです。

色合いはライカの渋色とは違いナチュラルです。

階調も豊富、開放から高解像度。階調は昔のライカより劣ります。

現代レンズでありながら、昔のレンズの風合いを残しています。

ニコンやキャノンしか使った事のないひとは、思わず「空気も写る」と言ってしまう

写りです(笑)

ちなみに空気は写りません(笑)

ツァイスレンズは全てにおいて巧くまとまっています。

ハッセルのCレンズも使いましたが、気品のある写りでした。

最大の特徴は安いことで、コシナで製造しているレンズはライカレンズの半額です。

ライカの色になれると、物足りない感じがするのが正直な感想です。

 

ソビエトレンズ

第二次時世界大戦で負けたドイツの、カールツァイスの設計と設備と技術者?がロシアやキエフに持ち去られて(連行?)製造されたレンズでモノクロで使うと絞れば良く写ります。中身は戦前のゾナーやビオゴンそのままです。

ルサール20mmは良く写ります。これはソビエトオリジナル設計で、

ビオゴンの元になったと言われています。

 

長文でしたが、レンズ選びの参考になれば。